山口一臣編集長からの続報 「検察の『抗議』に抗議」のウラ話
週刊朝日2月19日号に上杉隆氏が「東京地検の『抗議』に抗議」との記事を掲載され、実際に東京地検に送付された「抗議書」の内容を公開されたが、週刊朝日 談 にその後日談として"誌面じゃ読めない「検察の『抗議』に抗議」のウラ話” が掲載された。山口一臣編集長の寄稿である。
※週刊朝日が地検に送付した抗議書
山口編集長は冒頭、東京地検から週刊朝日編集部への「抗議書」に対する抗議と、新たな質問事項を書面にして東京地検の谷川恒太次席検事に送付したが、当然のように返事はなく、2月19日号の上杉隆氏による反論記事に対しても、いまのところ抗議書も呼び出しもきていないそうで、検察は一連の〝違法捜査〟に関する上杉隆氏と週刊朝日の指摘を認めたものと解釈しているそうだ。
では何故、検察はあのような「虚偽」に満ちた抗議書を送りつけるという愚行を犯したのか?そのウラ話を”検察内部の「関係者」から聞いた話”として書かれている。以下その要約である。
・幼い子を持つ女性秘書への「監禁」「恫喝」記事(週刊朝日2月12日号)を読んだ読者や一般市民から、東京地検に抗議の電話が殺到した。
・週刊朝日2月12日号が発売された2月2日の翌々日の4日には石川起訴、小沢不起訴発表というイベントを控え、東京地検(特捜)は「当日までになんとかしろ!」と上級庁からきつくお叱りを受けた。
・あわてた地検の谷川次席検事が山口一臣編集長を呼びつけ、抗議の意を申し入れ、石川起訴の前日、3日に抗議書を渡すセレモニーをやりたかった。ところが山口編集長は出張中であった。
・山口編集長の帰京後、地検からは「ご足労いただく必要はありません」との返答。つまり、その日(2月3日)でなければ意味がなかった。もはや、山口編集長を呼んでも手柄にならない。山口編集長は不要になったわけである。
その後、山口編集長が呼び出された事実がネット上に爆発的に広がり、結局は「言論弾圧」との抗議が何倍にもなって検察に帰ってきたという顛末である。
続いて、山口編集長はある地方検事の言葉を紹介された。
編集長はある地方の検事から「週刊朝日の批判はもっともだと思う。しかし、あれは特捜部だけが異常だということをわかってほしい」という手紙をもらったらしい。大多数の検察官は、地方でまじめに地味な事件処理にあたっていることを知ってほしいという趣旨であったと。。。 その中から野心的な検事が東京や大阪の特別捜査部(特捜部)に集められ、そこで大きな手柄を立てれば組織内でいいポジションを得られ、退官後もいい暮らしができるということらしい。
「暴走」の動機はカネと出世。。。
なるほど、検察の「暴走」を生み出す仕組みは理解できた。
しかし、はたしてこれを100%そうだと信じられるだろうか?
ならば、地方でまじめに地味な事件処理にあたっている人たちは、ここにあるような冤罪事件 には関わっていないのだろうか?
富山の男性も、足利事件の菅家さんも、県議選を巡る公選法違反の容疑で多くの方が自白を強要された鹿児島の志布志事件も、地方でまじめに地味な事件処理にあたっている人たちによる冤罪だったのだろうか?
高知県警による「証拠捏造と虚偽の証言」で「被害者なのに有罪にされた高知白バイ事故の片岡さん」の担当検事はまじめに地味な事件処理を遂行した検察官なのだろうか?
それとも、これらの冤罪を引き起こした検察官は全て野心的で、東京や大阪の特捜部に集められたのだろうか?
日本中で多くの男性が「痴漢の実行犯」として有罪にされるが、これも地味な事件処理にあたっている人たちによる結果なのだろうか?
私には、検察の暴走は特捜だけのものなどと、とても思えない。
地方でまじめに地味な事件処理にあたっている検察官も、我々国民が検察官に求める「まじめさ」と「地味さ」とはかけ離れた「まじめさ」「地味さ」の基準を持っているのではないだろうか。
山口編集長の言葉は以下のように続く。
いまでも、「ロッキードの堀田力さん」「リクルートの宗像紀夫さん」と言われるように、事件が大きければ大きいほど、歴史に名を残すことにもなります。もし、小沢一郎氏のような大物政治家を立件できれば、「一生食うに困らない」そうなのです。
ひとりの人間として、職業人として、その野心はわからないでもありません。しかし、そんな理由で事実が曲げられ、人権侵害まがいの取り調べや、恣意的な法の拡大解釈が横行しているとしたら、もはや「正義」などとは言えないでしょう。検察は「検察庁」という看板のついた建物ではありません。ひとりひとり生身の人間である「検事」の集合体です。生身の人間である以上、能力の優劣もあるだろうし、地位や出世に対する野心があるのも当然でしょう。その当たり前の前提を無視して「検察=正義」と考えるのは、とんでもない間違いです。人間の集まりである以上、邪な動機で捜査を始めることもあるのです。
そして『リクルート事件・江副浩正の真実』 (中央公論新社)から引用されている。当時主任検事だった宗像弁護士の言葉である。
「いやぁ、あの事件は本当に苦労しましたよ。当初は松原事件で江副さんまで贈賄申込みが繋がったら、そこで終わりにしたかったんですよ。ところが、松原さんに黙秘を貫かれ、松原さんの取調検事(堤守生特捜部副部長)の立場が悪くなって、止めるわけには行かなくなった。そこで捜査を続けざるを得ないことになって......(後略)」
なんとも。。。
「取調検事の立場を守るために捜査が継続した」という事実。
山口編集長は続ける。
「一事が万事、おそらくこんなことは氷山の一角なのでしょう。」
しかし、そんなことで使っていいほど「検察権力」は軽くありません。人ひとりの人生を抹殺し、地位を追うことなどあさめしまえ。たとえどんな権力者であってもです。実際、リクルート事件では多くの人が逮捕・起訴され地位を失いました。自ら命を絶った人もいます。「それは、悪いことをしたのだから当然でしょう」と思う人も少なくないと思います。わたし自身もそうでした。しかし、取り調べ中に「なぜこんなに関係のない人まで立件しなければいけないのか」と問うた江副さんに対して、宗像検事が次のように答えたというくだりを読んで、みなさんはどう思われますか?
「新聞が書いているのに立件しないと、特捜の権威が失墜してしまうのです」
つまり、法と正義に基づく判断ではなく、「特捜の権威」のために、次々と人を逮捕し起訴していったというのです。もはや法の支配とは言えません。もし、これらの記述が〝真実〟なら、わたしたちはとんでもない「権力」を野放しにしてきたということになるでしょう。それは半分以上、わたしたちメディアの責任だと感じます。
権力の監視はメディアの重要な役割です。しかし、それがほとんど機能していません。リクルート事件のころは、それでもまだ捜査に対する疑問の声が新聞紙上にも見られたと前掲書では紹介しています。それが今回の「小沢捜査」ではほとんどなかった。まさに大本営発表のような一方的な虚偽情報(検察に都合のいい情報)のみが垂れ流されて、世論形成や国民の政治行動に明らかに影響を与えるという状況は、健全な民主主義とは思えません。世の中が「小沢=悪」というひとつの方向に流れそうになっているときだからこそ、立ち止まって考えたい。そして、もう一方の権力である検察にも監視の目を向けなければいけない、というのがわたしの基本的な考えでした。
マスコミ正規軍である新聞やテレビとは違った視点を提供するのが、ゲリラとしての週刊誌の大事な役割だと思っているからです。口幅ったい言い方ですが、検察の尻馬に乗って「小沢叩き」するのは安全でリスクもなく誰にでもできることです。しかし、この圧倒的な大本営発表の流れの中で検察批判の立場にたつのは容易ではありません。でも、それをあえて面白がってするのが、週刊誌魂じゃないかって思っているんですが......。
山口編集長は「週刊朝日が今回の小沢疑惑追及をしない理由についても書いている。
一連の報道に関して、「週刊朝日はなぜ、巨悪の小沢を擁護するのか?」と聞かれることもありました。もちろん、そんなつもりはありません。追及すべきファクトがないので書かないだけです。いま世間に流布している「小沢バッシング」のほとんどは、新事実というより検察に情報操作された印象論に過ぎない気がします。小沢の「金権体質」とはいったいどういうことなのか、「ゼネコンマネー」とは具体的に何なのか。「巨悪」と呼べる根拠はどこにあるのか。
週刊誌屋の性として、過去に松田賢弥さんや横田一さんらが暴いた以上の〝新事実〟を見つけることができなければ、大袈裟に騒がないのが普通でしょう。もちろん、見つけられたら、キチッとお伝えするまでです。週刊朝日が小沢追及を始めるとしたら、それは検察も知らない独自ネタで攻めることになるでしょう。
独自ネタや特ダネ、新事実もないのに「小沢叩き、みんなでやれば恐くない」ってハシャグのは、ちょっとカッコ悪いかなって思っています。
さまざまな圧力から一部編集方針が転換されたように感じるが、少なくとも山口編集長の在任中は、週刊朝日を支持し応援を継続したい。
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小林興起氏の 「主権在米経済」2006年5月刊
関岡英之氏の 「拒否できない日本」2004年4月刊 (小林興起氏はじめ”抵抗勢力”とされた議員が郵政民営化に反対する端緒となった著書)
植草一秀氏の 「知られざる真実 -拘留地にて-」
植草一秀氏の 「売国者たちの末路(副島隆彦氏との共著)」
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この記事へのコメントは終了しました。

























































コメント
かっちょ様
いつもコメントありがとうございます。
検察は非常に世論を気にする体質のようです。
その世論が検察を後押しすれば、強気に攻める。
マスコミに検察リークの垂れ流しをさせるのはそのためですね。かっちょ様が以前書かれた「風を吹かせる」ことなのですね。
こうして世路誘導し、事件でないものまで立件し無実の人を犯罪人に仕立て上げていきます。
かれらを粛清せねば日本の明日はありません。
しかし、なんというか、
今回の週刊朝日出頭問題と女性秘書「監禁」「恫喝」事件に対する国民からの抗議は、検察も相当こたえたようですね。
やはり世論を気にする臆病な組織なのですね。
投稿: 利他不動 | 2010年2月23日 (火) 21時24分
地方検察官からの多くの告発があったとのこと!
特捜の歪みは検察内部でも問題視されているんですね!?
良識ある検察官も数多くいるんでしょう!!?
しかし利他不動さんのいわれるように、
地方の検察官の中にも上昇志向が強く、
ミニ谷川や佐久間、大鶴に続こうと虎視眈々の
予備軍もたくさんいることでしょう!!!
また山口氏が江副氏の著書からの引用として、
「『新聞が書いているのに立憲しないと、特捜の権威が失墜してしまう』と宗像氏が語った!」という話は、
検察の権威の相対性・あいまいさを実感しました。
検察官も人間なんで、判断にぶれはあると思います。
しかも、報道という外部要因によってその判断が
左右されることが、特捜検事OBの発言によって判明した!!
特捜部の解体を含めた全面的見直しの必然性が、ますます明白になったものと思います!!
投稿: かっちょ | 2010年2月17日 (水) 08時58分