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2009年9月28日 (月)

ブログ”世界一やさしい「郵政民営化」のお話”さんへの異論反論 3

私が、ブログ ”世界一やさしい「郵政民営化」のお話”さん  に質問を投げかけた中で、
「何故日本に郵政民営化を命令しておきながら、米国は自国の郵政国営化維持と市場独占を保証しているのでしょうか? 米国郵政民営化の障害は何だったのでしょうか? 日本郵政民営化問題を考察するにあたり、米国郵政の案件との比較をお願いいたします。」
と、米国郵政(USPS)の国営化維持についての問題を取り上げた。

この件について、”アメリカの郵政はなぜ民営化されないの?” (2009-09-24) と記事がアップされているので、ご参照願いたい。


それに対して、この問題の私が考える回答は以下の通り。


結論:

1. 何故、米国は米国郵政(USPS)国営化維持と市場独占を保証しているのか? 民営化の障害は何か?

米国は、米大手民間物流会社(米フェデックスと米UPSの2強)を、民営化されたUSPSの脅威から保護するために、USPSを民営化せず国営化のまま郵便事業の独占を保証した。

それは何故?
7兆円の売上規模を誇るUSPSが株式公開で巨額の資金を手に入れることが、米国トップクラスの政治献金団体であるこの大手2社にとって脅威であったためである。

つまり、
「自由競争の米国」というのは建前で、強力な政治献金団体との密接な関係を維持するところに本音があったということ。


2. では何故、日本郵政に対しては何年間も執拗に民営化の要請をしてきたのか?

(1) 前回記事でも触れた通り、郵貯と簡保の340兆円の金融資産
(2) 郵便事業会社と郵便局会社合わせて2兆4千億円の不動産

が米国のターゲットであったが、米大手民間物流2社にとっては、(2)のうち郵便事業会社の物流事業と不動産1兆4千億円が狙いであった。


それでは、この結論を導くに至った情報をご紹介する。

”民営化見送りで大赤字の米郵政庁”〔大矢昌浩氏 2009年6月30日(火)日経ビジネスONLINE〕 

<引用開始 (一部抜粋)>

 米政府は2004年の「年次改革要望書」で、日本に対して郵政民営化を要求したとされる。しかし、その前年に当時のジョージ・ブッシュ米政権は USPSの国営維持の方針を打ち出している。これを受けて2006年12月制定の米郵便改革法では、USPSの国営と市場の独占が追認された。

 具体的には、一般郵便、ダイレクトメール用の大口割引郵便、定期刊行物の配送および住所リストサービスなど付帯事業の独占が認められた。家庭の郵便ポストもUSPSだけが使用できると規定された。もし民間の物流企業が郵便ポストに投函すれば、罰則を受ける。

 国民の誰もが一律の条件でサービスを利用できるという、ユニバーサルサービスの原則を維持するには、国営という組織体制と事業の独占が必要だというのが米政府の見解だ。郵便事業の効率性やサービス品質は経営に対する監視を強化することで担保できるという判断だった。

 しかし、その結果は上に見た通り。毎年の料金値上げにもかかわらず、USPSは深刻な財政難に陥り、ついには配達頻度の削減というサービスレベルの引き下げと、財政支援策を政府に要請する事態に追い込まれている。民営化しないで良かったとは決して言えない状況だ。

 そもそも他の公共事業では弱者切り捨てやユニバーサルサービスなどお構いなしに民営化を断行したブッシュ政権が、なぜ郵便事業だけは国営を維持したのか。

 郵便事業に従事する70万人もの公務員とその家族たちを敵に回すことを避けるという意図もあったのだろう。が、それ以前にUSPSが物流市場に本格参入することで、民間物流会社の経営が脅かされることを回避する、つまり民間物流会社を保護する狙いがあったのではないか。筆者は思わずこんな疑念を抱いてしまう。そんな状況証拠が揃っている。

 というのも、米大手民間物流会社の米フェデックスと米UPSの2強は、米国トップクラスの政治献金団体としての顔を持っているからだ。とりわけフェデックスの創業者フレデリック・スミス会長兼CEO(最高経営責任者)は、先の大統領選でジョン・マケイン候補の副大統領候補に名前が挙がったほどの共和党の有力支持者だ。ブッシュ親子とも極めて近い人物として知られている。

 フェデックスとUPSという米国の大手2強と世界市場でしのぎを削るドイツポストは2000年11月の株式公開で得た資金を元手に、国際宅配大手の米DHLや、グローバル企業のロジスティクス管理を包括的に請け負う3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)で世界最大手の英エクセルなどを次々に買収し、短期間で世界最大の総合物流企業にのし上がった。

 買収攻勢をかける以前のドイツポストの売り上げは1兆4000億~1兆5000億円程度。それに対して、当時世界最大手のUPSは倍の3兆円以上、2位のフェデックスは2兆円以上の売上規模を誇っていた。それがわずか数年で逆転された格好だ。

 UPS、フェデックスがお膝元とする米国でも、ドイツポストは米国3位のエアボーン・エクスプレスを2002年に買収して本格上陸を果たしている。(「郵政民営化は、お手本を失った」に解説した通り、ドイツポストの米国進出は結局失敗に終わったが)米国の2社が危機感を持ったであろうことは想像に難くない。

 そこに7兆円もの売上規模を誇るUSPSが本格参入してきたらどうなるか。USPSが株式を公開すれば巨額の資金が手に入る。それを元手に有力物流企業の買収に乗り出すのは必至だ。株式の大部分を自社保有するUPSはともかく、フェデックスは格好の買収候補となる。買収されなくても、有力なライバルの登場によって民間2強の足元は揺らぐ。

 一方、民営化によって解放される郵便市場に、民間企業はそれほど魅力を感じていない。USPSに対抗し得る郵便の配送ネットワークを構築するには、莫大な投資と長い時間が必要だ。その先に十分な果実が約束されているわけでもない。

 UPS、フェデックスは、米国の小口物流市場を2社で牛耳ることで、国内事業を“ドル箱”にしてきた。インフラから自動的に利益が生み出される構造が、既に出来上がっている。それを原資にネットワークを世界に拡げることが国際インテグレーターとしての基本戦略だ。国内市場に改めてリソースの多くを振り向けたくはない。


<引用ここまで>


次は、あるレポートの一文。

「郵政民営化は外国勢に2つの大きな機会を与える。1つは、郵便事業の一部がFedEx、DHL、UPSなどに売却され、日本の後進的配達分野を効率化できる点だ。もう1つは、3.5兆ドルの郵貯、1兆ドルの保険が幅広い投資商品に解放される点である。(郵貯の一部を即座に外国勢に売却するのは、まだ政治的に不可能だが)小泉の良好な対米関係重視、有権者の民主党拒否から、いずれ米金融機関への解放、参入につながるであろう」
(注:3.5兆ドルの郵貯、1兆ドルの保険という資産額は誤りで、当時の郵貯と簡保の合計資産は、前回記事で紹介したウォールストリート・ジャーナル紙記事にある3兆ドルである)

これは、2005年9月12日(郵政選挙で自民党が圧勝した翌日)に発表された、国際経済研究所 IIE(Institute for International Economics)のアダム・ポールセン上席研究員による”日本の政局分析レポートの一文である。
この IIE は、竹中平蔵氏が以前所属していた組織である。

1つめの”郵便事業の一部がFedEx、DHL、UPSなどに売却され、・・・”で、「米国郵政は国営化、日本郵政は民営化」とする米国の意思の背後 に、米国物流大手2社があったということが理解できる。
2つめの郵貯と簡保の金融資産については、やはりその金融資産を米国がターゲットとしていることを裏付けている。


私が郵政改革を考える際のポイントは

・”ユニバーサルサービス業”として、国民全てに行き渡るサービス展開が「確実に可能」であるか。
・郵政の金融資産と不動産を、国として、国民の財産として「確実に守る」ことができるか。

この2点である。
それを考えると、郵政の事業は民営化でも国営化でもどちらでもよいが「4分社化とその株式公開は絶対にあり得ない、してはならない」との結論に至る。

どの公営事業も民営化の可否が議論される場合、まず「民営化が国民へのサービス向上をもたらすか」の検証が最も優先されるべきである。
決して「民営化=高効率&高収益」などと思考停止した判断を下さないことである。「高効率&高収益」は公営であっても経営が優秀であれば可能である。逆に民間企業で「抵効率&低収益」企業もある。

要するに経営の質に焦点をあてなければならないことを、「公営か民営か」の議論から始めるところが問題なのである。


また、郵政の金融資産は日本国家を運営する上で、最も重要なものであり、国家の緊急時にはそれを活用されてきた経緯もある。これを失うことは、国家破綻をも意味する。このことに関連し高橋氏博彦氏の「神州の泉」では、「国家安全保障上の理由から日本郵政に対し和製エクソンフロリオ条項を検討すべし」  との主旨が訴えられている。 私はエクソンフロリオ条項なるものの存在すら知らなかったが、これを読み少し今後への希望が持てる気がした。和製エクソンフロリオ条項を導入施行できれば、これまでのような米国による内政干渉も緩和されるであろう。


この記事は下記書籍に書かれた情報を元にしています。 まだお読みでない方は是非ご一読願います。

小林興起氏の 「主権在米経済」2006年5月刊
関岡英之氏の 「拒否できない日本」2004年4月刊  (小林興起氏はじめ”抵抗勢力”とされた議員が郵政民営化に反対する端緒となった著書)
植草一秀氏の 「知られざる真実 -拘留地にて-」
植草一秀氏の 「売国者たちの末路(副島隆彦氏との共著)」



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 by SOBA@「雑談日記」

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